慢性腎炎とは

- 慢性腎炎は数ヶ月から数年かけて猫の腎臓の機能が徐々に弱っていく進行性の病気です。
一般的な発病年齢の平均は
約7~9歳です。
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15歳以上の猫の約80%が慢性腎臓病を抱えているという報告があります。
- 慢性腎炎は治療によって完治する病気ではありませんが、食事管理やお薬によって進行を遅らせ、日々の生活の質を良好に保つことができます。
腎臓の構造


猫の腎臓は、お腹の中で背骨をはさんで左右に1つずつ、合計2つあります。
それぞれの腎臓には、「ネフロン」と呼ばれる尿をつくる単位が約20万個集まってできています。
ネフロンは主に以下の2つの部分から構成されます:
この尿細管はさらに集合管(しゅうごうかん)→腎盂(じんう)→尿管→膀胱へとつながり、最終的に尿として体外に排出されます。
腎臓のはたらき


慢性腎炎になると


慢性腎炎の症状


- 慢性腎炎の猫は血液中に老廃物が蓄積し、元気がなくなったり、毛艶が悪くなったり、体重減少などの症状を示すようになります。
- また、尿を適度に濃縮する能力もなくなり、大量の尿を排泄しそれを補うために水をたくさん飲むようになります。
- 慢性腎炎では高血圧がおこります。血圧の上昇は目や脳、心臓などに悪影響をおよぼします。
- 造血ホルモンは腎臓で生産されており、腎障害が進行するとこれらのホルモンの生産が障害されて再生不良性の貧血がおこります。貧血の猫はハグキが白っぽく見えるようになります。
♡ 血中クレアチニンと尿比重の検査結果をもとに慢性腎炎のステージ分類を行います
慢性腎炎のステージ分類

慢性腎炎の診断

腎機能を評価するために、血液検査と尿検査を実施します。
【血液検査】
- 老廃物である尿素窒素とクレアチニンの濃度を測定します。これらの老廃物の増加は腎機能が適切に機能していないことを意味します。
- しかしながらこれらの検査結果はさまざまな要因を考慮して判断しなければなりません。例えば脱水症をおこしていると、腎障害がなくても尿素窒素が増加します。
- その他ナトリュウム、カリュウムなどの電解質濃度、リンの測定も慢性腎炎の猫を評価する上で重要です。
- 最近、タンパク質の代謝産物である[SDMA]が慢性腎炎の早期診断に利用できるようになりました。
【尿検査】
- 尿比重、PHの測定の他に通常では尿中に出ない尿蛋白、赤血球、細菌などの検査をします。
- その他の超音波検査やレントゲン検査、血圧測定なども慢性腎炎を診断する上で重要な検査になります。
慢性腎炎の治療

♡慢性腎炎は治癒することのない進行性の病気ではありますが、治療により「生活の質」を改善し寿命をのばしてあげることは可能です。

【主な治療薬 】
