ノミの繁殖

 ノミの繁殖力は旺盛で気温15℃以上、湿度が50%以上になると卵を産みはじめます。

 
ノラちゃんが庭先に落としていったノミは住居内に侵入し飼い猫に寄生します。雌ノミは寄生して48時間以内に産卵を開始し卵はカーペットや家具の隙間などで発育します。
 
高温多湿のノミの繁殖に適した環境では一匹のノミが1日に産卵する卵の数は20-30個。生涯では約2000個の卵を産むといわれています。猫に寄生している親ノミは全体のわずか5%です。残り95%は卵、幼虫、サナギの状態で生活場所内で生活しています。
 
 

ノミの繁殖

 
 
猫に寄生している親ノミを完全に駆除してもカーペットやタタミなどの隙間で繁殖している大量のノミの幼虫がつぎつぎと親ノミ成長して再寄生をくりかえします。
 
いったん家庭内でノミの繁殖が始まってしまうとノミの駆除はきわめて困難になります。
 
定期的なノミ駆除剤を投与すると同時に生活環境内に生息しているノミの幼虫や卵を掃除機などで根気よく吸引除去して取りのぞくことが重要です。
 
家庭内でのノミの繁殖がはじまると家庭内からノミが完全に駆除できるまでには3-6ヶ月かかります
 

ノミのみつけ方

 
ネコちゃんがさかんに痒がったり皮膚をなめている場合にはノミが寄生している可能性があります。被毛をかきわけてノミが寄生していないか調べてみましょう。
 
ノミ取り用のクシで全身の被毛をすくとノミがすきとれることがあります。
   
猫の体からノミが見つからなくてもノミの糞がみつかることがあります。ゴマ粒大のフレーク状の黒っぽいものが被毛の間に付着していればノミの糞の可能性があります。ぬらしたティッシュの上に置いておくと周囲に赤い色がしみ出してくるようなら間違いなくノミの糞です。

 
ノミの糞
ゴマ粒状のものがノミの糞です。
 
ノミの糞の写真
ぬれティシュの上においておくと赤い液体がしみ出てきます。



ノミの駆除と予防

 
ノミの繁殖力は旺盛で実験的に雌雄2匹のノミを寄生させノミの繁殖し適した環境に放置しておくと3ヶ月後には約2万匹に増えるといわれています。ノミ対策はペットの生活環境内でノミが繁殖する前にノミを駆除することが大切です。最近はたくさんの種類のノミ駆除剤が発売されていいます。

 
ノミ駆除剤はみかけは同じように見えても成分や効果はことなります。また、ノミ駆除剤に抵抗性のあるノミも発現しています。私達動物病院では安全で効果の優れているノミ駆除剤をおすすめしています。
 

 
猫の体からノミを発見できなくても外に出たり、庭にノラちゃんがやってくるなどノミの寄生の可能性がある場合には予防的に駆除剤を使用しましょう。
 
 

ノミのが原因の病気

ノミアレルギー

 
ノミアレルギーはノミの唾液に対するアレルギーです。犬は激しい痒みのために引っかいたり舐めつずけることにより脱毛、発赤などの皮膚症状がみられるようになります。
 

治 療 

定期的なノミ駆除と同時に痒みを軽減する薬で治療します。通常は生活環境内でのノミの繁殖がはじまっていますので長期間の治療が必要になります。 

ウリザネ条虫

 ウリザネ条虫はノミが媒介する消化管内寄生虫です。ノミ寄生による痒みのために犬が体を舐めるときに誤って条虫を保有しているノミを食べて感染します。ほとんどの犬は感染していても無症状ですが大量に寄生すると下痢などの消化器症状がみられることがあります。
 

ウリザネ条虫の感染経路

 

治 療

 治療はウリザネ条虫駆虫薬の投与とノミの駆除を同時に行います。